見えない矯正、舌側(裏側)矯正とは

「歯の裏側からおこなう矯正治療」が、舌側矯正/裏側矯正であり、別名「リンガルブラケット矯正」と呼ばれます。歯の表側に矯正装置を付けるのではなく、歯の裏側に矯正装置を付けるため、表側からはほとんど見えません。矯正装置が見える事が恥ずかしいと感じる方や、人から気付かれずに矯正治療を受けたい方、職業柄、目立つ装置がつけられない方などが、専念して受けられる矯正治療法と言えます。

唇側矯正/表側矯正と比べると新しい治療法で術式が異なります。歯の裏側は表側よりも凹凸が多く、装置を付ける場所も小さいので高度な技術を要し、疎遠気味な歯医者さんもいますが、歯並びの状態によっては舌側矯正/裏側矯正の方が適した症例もあります。治療期間は唇側矯正/表側矯正と同様の平均は2~3年か、それよりもやや長めが目安です。

メリット

他人から矯正装置がほとんど見えない

最大のメリットと言えるでしょう。歯の裏側に矯正装置を取り付けるので、審美性が高く、見た目を気にする方にはオススメです。人目を気にせず治療期間を過ごせる事は、公の場にも臆する事なく出られ、精神的にも楽です。

 前歯がいち早く揃いやすい

通常、治療開始から半年目処でまず前歯がキレイに揃います。これは舌側矯正/裏側矯正が、奥歯を固定源として、歯をしっかりと奥へ引き込めるためです。前歯が揃ってきた段階で、キレイな歯並びを実感できるので、矯正期間を短く感じる方もいます。 歯が前に出ている、出っ歯や受け口の症例に適しています。

 スポーツやアクティビティに支障を伴わない

日常的にスポーツをされている方、ボディコンタクトがあるスポーツをされている方、また楽器などを演奏する方にとっては、唇側矯正/表側矯正よりも舌側矯正/裏側矯正のほうがより安全でオススメです。裏側に装置を付けるため、強い衝撃を受けにくく、頬や唇を傷つけるリスクが減ります。また、管楽器などを演奏する際も装置が邪魔にならず抵抗なく続けられます。我慢せずにスポーツや音楽を楽しめます。

 表側の歯のエナメル質を傷つけない

矯正治療中のリスクとして装置を撤去する際、表面の歯にごくわずかな亀裂(エナメルクラック)が生じる場合があります。普段の生活中にも生じる場合がありますが、そのほとんどの場合が健康への支障や治療は不必要です。舌側矯正/裏側矯正であれば、表側にエナメルクラックができる心配はありません。

 食事中のストレスが軽減する

矯正装置に食べ物が引っかかったりするのは、矯正をしている方にとってはよくある事です。装置に絡まった食べ物を人前で取る事は躊躇され毎回席を立つ事になったりと、食事に集中できません。舌側矯正/裏側矯正でも同様、食べ物が絡まる事はありますが誰かに見られる事はありません。はじめは食事が取りづらいなどの不具合はありますが、人の目を気にせず食事が取れるので、外食も気を使わずに出来ます。

 唾液の恩恵が受けやすいため虫歯のリスクが下がる

歯の内側は常に唾液で潤った状態にあります。歯の裏側に矯正装置があるので、唾液の持つ殺菌作用・自浄作用により虫歯になる確率が低くなります。だからと言ってこれに甘んじてお手入れを怠らず、定期的なブラッシングなどはしっかりと行いましょう。

 舌癖を治す事にも繋がる

歯並びが悪いのは、舌で前歯を押したり、間違った嚥下方法を繰り返し行うなどの原因も挙げられます。歯の裏側に矯正装置を付ける事で、間違った舌癖を治す事もでき、矯正装置を外した後の、舌の習慣による後戻りのリスクも減ると言われています。

デメリット

お手入れに気を使う

歯の裏側に矯正装置が付いているので、装置の状態が見づらく、装置の感覚も狭く、通常よりもブラッシングに手がかかります。

 治療開始直後は違和感が大きく話しづらい

歯の裏側に矯正装置を付けるため、舌に歯をつけて行う発音に支障が出ます。日本語ではさ行、た行などの発音が不明瞭になりますが、発音練習をし、矯正装置に慣れてくれば解消されます。練習が不足すると、矯正が終了するまで発音が不明瞭の方もいます。また、口内炎ができやすい方もいらっしゃいます。

 痛みを感じる事もある

矯正装置を付けた直後や矯正装置調整後などに痛みが生じる事もありますが、経過と共に収まります。痛みの種類は、引っ張られる感覚、ジンジンする、歯が抜ける時の感じと言われる痛みで、矯正期間中ずっと続くわけではありません。

 料金が高額

上下の歯を舌側矯正/裏側矯正をする場合は約80~150万円ほどかかると言われています。これは唇側矯正/表側矯正よりも高度な治療が必要であること、施術時間が長くかかってしまう事が要因です。また、施術時間が長いと言う事は、口を開いた状態が続くと言う事でもあり、精神的に辛いと感じる方もいらっしゃるようです。

舌側(ぜっそく)矯正/裏側矯正=リンガルブラケット矯正の種類

  • フルリンガル矯正:上下の歯を舌側矯正で治療
  • ハーフリンガル矯正:上の歯のみを舌側矯正で治療
  • 部分的舌側矯正:前歯のみを舌側矯正で治療
おすすめの記事