唇側(表側)矯正治療とは

「くちびる側からおこなう矯正治療」、それが唇側矯正/表側矯正です。最も歴史が深く、全症例に対応出来る成熟した矯正治療法と言えます。症例の研究や検証が多い分、治療装置の種類が豊富です。矯正治療方法は、歯に"ブラケット"と呼ばれる矯正装置を装着し、ブラケットにワイヤーを通し、ワイヤーの弾性を利用して少しずつ歯を動かします。矯正治療が進むにつれてワイヤーを随時交換します。

一般的なブラケットは金属製(シルバー)ですが、現在は透明・ホワイト・ゴールドなど歯の色に馴染むブラケットがあり、唇側矯正/表側矯正でも目立たなくなってきています。中には審美的な理由から金属製のブラケットは取り扱わないと言う、歯医者さんも出てきていますので金属製のブラケットを視野に入れている方は、事前に受診予定の歯医者さんへのお問い合わせをオススメします。

金属製(シルバー)のブラケット

ニッケル、クロムなどでできた合金が一般的です。アレルギーを引き起こしにくい金属でできていますが、金属アレルギーの方用に生体に親和性の高いチタニウム性もあります。ブラケットの中では最も目立つと言うデメリットがありますが、歯医者さんにとっては見やすく治療が楽で、歯も早く動き、最もコストがかからないと言うメリットもあります。低コストのため、小学生からは最も多く選択されるようです。口腔内の状態によりますが、治療期間の目安は2~3年です。

メリット

  • 材質が頑丈で、咬合力、矯正力などによる変形、破折がなく、経過に伴う変色もほとんどありません。
  • 歯を動かすワイヤーの情報を歯に正確に伝える事ができ、ワイヤーとの摩擦抵抗が少ないので歯を早く動かせます。
  • ブラケットが目立つので、付着した汚れに容易に気づけます。
  • 治療効率が良く、治療期間の短縮も望め、コスト的にも抑えられます。

 デメリット

  • 金属(シルバー)装置自体が目立ち、精神的に不快を感じる場面も予想されます。
  • 唇側矯正/表側矯正なので、矯正中ブラケットが歯にあたり、歯が削れる事もあります。
  • 稀に金属アレルギーを起こす事があるようです。

透明・ホワイト・ゴールドのブラケット

審美性を考え開発されたブラケットです。材質は、硬質プラスチック、セラミック、サファイヤ結晶などがあります。硬質プラスチックはやや壊れやすい傾向がありますが、摩擦抵抗が少なく、変色も起きません。セラミック、サファイヤ結晶は、治療中の変色が少ないので審美的には優秀ですが、ワイヤーとの摩擦抵抗が大きいため、治療期間がやや長くかかる傾向があります。金属製(シルバー)と比べ目立ちにくいため、成人が最も多く選択される矯正装置のようです。

メリット

  • ブラケット自体が目立たないので、他人に気付かれず矯正治療を進められます。
  • 材質が硬質プラスチックであれば、歯とブラケットがあたっても歯は削れません。
  • 金属アレルギーがでません。

デメリット

  • 金属製(シルバー)に比べて壊れやすいため、矯正治療の時間増・コスト的には高くなります。
  • 目立ちにくいブラケットのため、付着した汚れにも気づきにくくなります。

矯正ワイヤーの種類

ワイヤーの素材によっても様々な特徴があります。目立ちにくいブラケットと一緒にワイヤーにも、ホワイトやゴールドを併用すれば、更に審美性を高められます。

ホワイトワイヤー

ホワイトコーティングされたワイヤーで、透明ブラケットと併用すれば、唇側矯正/表側矯正の矯正装置の中で最も目立たない組み合わせとなります。白色度合いは、歯の色味に合せて選択が可能です。弱く優しい力で効率的に歯を動かすホワイトワイヤーもあるようです。

 ゴールドワイヤー

ゴールドコーティングされたワイヤーで、歯の色と歯茎と同調し、想像以上に目立ちません。透明ブラケットとの併用で、全体的に明るく上品な印象になります。ホワイトワイヤーよりも目立ちにくいと感じる方もいるようです。

 シルバーワイヤー

一般的なワイヤーで、金属素材の種類も多く、様々な効果を持ち合わせたワイヤーでもあります。ホワイトやゴールドに比べると目立ちやすいですが、細かいシルバーワイヤーを使用すればさほど気になりません。最もポピュラーな組み合わせが、透明ブラケットとシルバーワイヤーの組み合わせと言われています。

3つ目のパーツ

唇側矯正/表側矯正で使用する矯正装置は、ブラケット、ワイヤー、そして、ブラケットとワイヤーを固定(結紮:けっさつ)する3つのパーツが必要になります。歯の移動状況に応じ都度、固定方法を選択していきます。固定方法によって、ブラケットとワイヤー間の摩擦抵抗を軽減し、効率的な歯の移動が可能となります。ブラケットとワイヤーを目立たなくする固定方法もあります。

細い針金(結紮線)

ブラケットとワイヤーを強固に固定出来ます。ねじれた歯などを動かす際にとても有効です。色素の強いものを飲食しても変色しないシルバータイプと、目立ちにくいホワイトタイプもあります。

 クリアーエラスティック(透明)

ブラケットとワイヤーを固定する透明なゴムで、色素の強いものを飲食すると着色します。

 カラーエラスティック

カラフルなゴムなので、イベントに合わせてカラーを楽しむ事も可能です。

 矯正用ワイヤーとマルチブラケット装置の結紮用装具(クリアスナップ)

白い樹脂製のカバーを着け、ワイヤーとブラケットを固定する方法です。白いカバーにより、ワイヤーが目立ちにくく、また、ワイヤーをブラケットスロットに押し付けないので、歯の移動がスムーズになります。

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